最愛の君へ
何を書いても薄っぺらくなるのは目に見えてるから敢えて書くね
私にジャムと名付けられた君は、世界で1番可愛かった。
ぶどう色の目はキュルキュルしてて、クリーム色の毛はふわふわだった。
嫌なことがあった日もジャムのふわふわな毛を撫でて、温もりを感じたら嫌な事なんてすぐに忘れられた。
ジャムこれ好きかなってペットショップのおやつ売り場を物色するのは楽しかった。
お散歩用のついたてを作った。落ちないように踏み台も作った。暑い時は涼めるように、チョコレート缶の蓋をお部屋に置いた。
私のお豆腐を一欠片あげるとちゃくちゃく言いながら美味しそうに食べた。
もうすぐ、ジャムが大好きだったさつまいもが美味しい季節だったんだよ。
色んな写真も動画もいっぱい撮った。でもこんなの全然足りなかった。
ジャムからもらったものに比べたら、私のした事なんて些細なものだった。
もっと美味しいおやつをたくさんあげたかった
最後に砂浴びもさせてあげたかったのに
もっと撫でてあげれば良かった
もっともっと愛してあげたかったのに
大学に入ってから、忙しさを言い訳にしてお母さんに任せっきりにしてた。
私が1番辛い時いつもそこにいてくれたのに、私は簡単に目を離した。
膝の上に乗ってきたり、肩まで登ったり、そこは擽ったいって!って遊べないんだね
うるさいくらい鉄のフェンスをガチガチ噛む音も、回し車で走ってる音も、変な声の寝言ももう聞けない。空っぽになった小屋、いつもジャムが丁寧に作ってた紙のお布団だけが残っている。
こんなに早くいなくなるなんて思わなかった。
朝から同じ格好で寝てるよってお母さんに言われた時、いつもの事だと思いながらも嫌な予感がした。
コンコンってノックをしてもビクともしなかった。こんなこと今までなかったのに、ケース越しに手を当ててみた。温かくなかった。
信じたくなかった。涙が溢れた。
お別れの言葉すら言えなかった。こんなに突然だなんて聞いてないよ、ジャム。
家に来る前から、ジャムはちょっと変わり者だったね。よく変な場所で寝たり、回し車の上に登ったり、やんちゃばっかりでヒヤヒヤすることが多かったな。
起きるのは遅いし、きまぐれなビビりで、たまに機嫌が悪い時もあって。それでも絶対噛み付いたりはしない優しい子だったね。
ジャム、空っぽになったジャムのお家を見ると私、涙が止まらなくなっちゃうよ。
ジャムに出会ってたくさん楽しい思い出もらったし、どう頑張っても上手くいかないこともあるってことも教えてもらったよ。
ジャム、家に来てくれてありがとう。本当に君は世界で一番可愛くて、世界で1番大好きだったよ。ゆっくり休んでね、ジャム。